2020.6.25更新
皆様、いつもありがとうございます。
連日遠くからもセミオーダーのためにご来店いただいておりましたが、この度全商品のセミオーダーをオーダーストップとさせていただくこととなりました。驚かれるお客様が多いと思います。私としても本当に苦渋の決断でした。
自宅を工房にしてセミオーダーを初めてから今まで10年余りになります。
初めは自宅だったのでご紹介のあるお客様限定で始めました。店をオープンして8年、オープン当初から自分のキャパシティーを超える数のお申し込みに、初めの4年間ほどは寝袋を持ち込んで睡眠を削っての製作の毎日でした。
今でも変わることなく、ずっと途絶えることのないご予約の数々。こんなに続けることができて本当に有難い気持ちでいっぱいです。
「お客様がわくわくできる店を」というその一つの思いでセミオーダー料無料でずっと続けてまいりました。
仕組みを考え、革を揃え、デザインを考え、サンプルを作り、そしてそのルールにのっとって、お客様が興奮状態で革を選んでくださる。そして1年2か月という長い期間私たちが作るお財布を楽しみにしてくださるという奇跡。
1年2か月後の受け取りの際、「可愛い~!」とか「良かった~!」とハイテンションになってくださるお姿が、何より励みになりました。発送の場合もたくさんのお礼のメッセージやプレゼントをいただき、皆さんの優しさに日々癒されておりました。
私の身体を気遣ってくださる暖かいメッセージも本当にたくさんいただきました。私の大切な宝物です。
セミオーダーを実現するには、私共小さな店には並大抵でな事ではなく、ひと月分まとめて製作するたくさんのご予約の品に必要な革、裏地、芯、金具は多種にわたり、その必要数をカウントするだけでも数日かかります。複雑なため、スタッフも四苦八苦です。
納期が迫っているのに、届いた革の状態が悪い時もあります。やっとの思いでカウントしたパーツを裁断し、下準備し、製作しますが、1枚しかない革で失敗やカウントミス等で足りなくなることはよくあることです。効率が大変悪いのも事実でした。
そのたびに複数の革屋さんに同じ革がないか問い合わせ、あれば一つのお財布のために半裁(1頭の半分)もの大きな革を取り寄せたことも何度かあります。
気が付けば納期に縛られて、新しい革の買い付けや、新しい作品を考える時間がほとんどありませんでした。
そして私自身が休みを休みとして過ごせる日がほとんどない状態で10年突っ走ってきました。
今回の決断はこのコロナの一連の騒動でお客様やスタッフの安全を確保することがまず第一の決断理由です。
スタッフにセミオーダーをどうするのか聞かれる中、もっと早く決断すべきでしたが、なかなか決断できませんでした。すみません。
そして二つ目は魅力ある店にするために、自分らしい人生を送るために、本当にこのままでいいのか考えるきっかけになりました。
ずっと前から「この仕事が終ったら、映画だけは見に行こう」そう決めていながら映画を見る時間さえ作れないでいるうちに、このコロナで映画さえままならない世の中になってしまいました。
こんなことでもなければ、日々たくさん頂くご予約の中で、絶対に立ち止まることはできなかったと思います。
連日他府県からもご来店いただくのに、オーダーストップするのは胸が痛いですが、新しいタイニースプラウトになるために神様がくれた機会なのかもしれないと前向きに考えることにしました。
セミオーダーはしばらくなくなりますが、お客様の胸を「ビビッ!」と打てるような作品をその分たくさん作っていきたいと思います。
そしていつかスタッフがもう少し育ってくれて豊富に製作できるようになり、コロナを恐れなくていい世の中になりましたら、たくさん作品を並べ、そして多少のセミオーダー料は頂きますが、セミオーダーを復活させたいと思います。
その日が来るまで私も日々腕を磨いておきます!
思いがこみ上げて長々、すみません!
これからスタッフと力を合わせて、少しずつ魅力アップさせていきますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。<(_ _)>